しらとり日記(埼玉県飯能市 白鳥幼稚園のブログです)

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1月園長だより

明けましておめでとうございます。

かあさんの下駄
 作詞・作曲 中村ブン

世界中で一番きらいなものは かあさんの怒った顔

世界中で一番うれしいのは かあさんの笑った顔

世界中で一番つらいのは かあさんの泣いた顔

隣のおばさんと出掛ける時も 父兄会で学校へ行く時も
かあさんはいつでもすりへった 男物の下駄をはいて行った
これしかないんだから仕方ないって 大きな声で笑ってたけど
ぼくにはどうしてもかあさんのように 笑う事が出来なかった

新聞紙に包んだ新しい下駄を 両手にかかえて息を切らして
「ただいま!」ってエバって戸をあけたら かあさんは今日も
内職してた
「かあさんこれ…」って包みを渡したら 「なんだい?」って
少し頭をかしげた
「いいから早く開けて見てよ ぼくのプレゼントだよ」

包みを開けるとかあさんは こわい顔してぼくに言った
「お前これどうしたの? この下駄どこから持ってきたの…
 いくら貧乏しても人様のものに 手をかけるような子に育
 てたおぼえは ないよ情けない…」ってふるえながら下駄
とぼくをにらんでた

「違うよかあさん ぼく買ったんだよ」「うそをつきなさい 
お前にどうして そんなお金があるの?こづかいだって
あげたことないのに…」
「弁当代ってもらう中から 毎日五円ずつ貯めたんだよ 
赤い鼻緒の下駄を買いたくて おかあさんをびっくりさせ
たくて内緒にしていただけなんだ 悪いことなんかぼくして
ないよ」下駄を包んだ新聞紙の上に 大きなしずくがボトボト
落ちた

「悪かったね」って言って子どものぼくに何度も何度も頭を
下げた 「すまなかったね」ってもう一度言って 
あとは言葉にならなかった

ぼくが初めて 生まれて初めて かあさんの涙を見たのは
それは小学六年生の冬

 昭和19年2月小学校2年生の3学期半ば、私は飯能第一
小学校から秩父の上吉田という父親の生まれた村の上吉田
小学校に転入学した。母親だけでは5人の兄弟に食べさせ
ることが出来なくて、思案の末のことであったのだろう。
お前はお粥が嫌いだから秩父へ行きなさいという母親の口癖
だった。大分大きくなってから私は本当にお粥が嫌いだった
のだろうかと考えるようになった。というのもお粥をいろい
となところで出されても食べられないことがなかったから
である。どうやらこの話しは母親の口実で、なんの理由も
なく一人で秩父に行かせるのに忍びなかったから、秩父に
行けばお前の嫌いなお粥ではなく固いご飯が食べられるか
らと、私に思い込ませる方便であったのだと気付いたのは
ずいぶん時が過ぎてからであった。それはともかく、父親
の父親-私にとってはお爺さんは大変に恐い人であった。
秩父に来てから何日もたたないある日、土間に筵をしいて
二人でこれに座り、藁草履の作り方を教えてくれたのであ
る。それもたった一回。通学する草履は自分で作れという
ことである。
たった一回だけでは、さすがに頭のよいオレさま??でも
覚えられるはずもなく、出来たのは川虫のようなグロテス
クなひどい草履であった。まあ、それでも作りつづけてい
るうちに又ほかの人が作っている様子を観察して、ああ作
れば良いのだと感づき少しはましな草履を作ることが出来
るようになった。
冬など乾燥しているときなどは一日で擦り切れてしまう。
何とか擦り切れないようにと自転車の古タイヤを草履の
形に切って針金で止めたりもして工夫した。しゃれた草履
など履いたこともない。靴がはけるようになったのは5年生
になったころだろうか。直ぐに靴底が割れてしまい粗悪な
ものだった。
その後父親が復員し母親も上吉田に住むようになった。
その母親が履いていたのが男用の下駄ではなかったが、
うすっべらにすり減った下駄を履いていたのは記憶にある。
こんなことを、この詩は思い起こさせてくれ、この母親が
息子がやっと貯めたお金で買ってくれた下駄がどれぼど
うれしかったかは想像だにできないほどである。終戦後の
物がまったくないような時代が過ぎ、溢れんばかりに豊か
になった。
そして、人々は物の有難さを忘れ、次第に他人を思う心、
愛おしく思う心、心と心が通い合う場を失って行くことに
なった。
母と思春期を迎えつつある息子との下駄を通しての切ない
心の行き来、母の大粒の涙、息子が大嫌いだという涙。

ものは息をしている ものは生きている ものには使命がある

私たちはもう一度「もの」について考えねばなりません
本年も どうぞ よろしく お願いいたします。

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by keiteki-siratori | 2018-01-09 15:13
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白鳥幼稚園の子ども達の様子をご紹介します


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